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2012年8月放送 [2012年 ON AIR]

2012年8月放送

暑い夏、いかがお過ごしでしょうか。三浦郁子です。 今月と来月、2回に渡って、先月行ってきたポルトガルをご案内しながら ポルトガルの伝統音楽、ファドを中心にお送りしたいと思っています。その前に ちょっと演奏会のご案内です。 10月6日 土曜日、午後2時から藤沢のリラホールで 湘南コンサートの会主催の室内楽演奏会が開催されます。 曲目はアレンスキーのピアノ三重奏曲とベートーベンのピアノ三重奏曲「大公」です。ヴァイオリンは NHK交響楽団の木全利行さん、チェロは同じくNHK交響楽団の次席チェロ奏者、藤村俊介さん、そして ピアノは私、三浦郁子です。演奏会の詳細、また チケットのお申込みは 湘南コンサートの会、電話0466-22-2721までお願いいたします。チケットは一般3000円、学生2000円、湘南コンサートの会会員は無料です。
さて、日本が早々 猛暑に見舞われた7月はじめ、反対に 季節外れに涼しかったポルトガルを旅してきました。今日は リスボンと世界遺産のベレン、来月は近郊の古い町、オビドスとシントラ、さらには ユーラシア大陸最西端、ロカ岬をご案内する予定です。 まずは ポルトガルの伝統音楽、ファドについて 少しご説明しましょう。 ファドは どちらかというと 社会の底辺にいる下層階級の人々が 日々の辛い生活の中で 悲哀をこめて歌ったものが 大衆に広まったものです。 起源は諸説あるようですが、ブラジルでアフリカ人奴隷が親しんでいた官能的な音楽舞踊が、リスボンの下町に広がったという説が有力です。 スペインのフラメンコ、アルゼンチンのタンゴのように、大衆に寄り添い、暮らしに根付いた音楽と言えるでしょう。 リスボンでは アルファマという地区に ファドハウスと呼ばれる店が多く点在し、食事をしながら ファドを聴くことができます。早くても夜9時ごろから、夜が更けるまで 魂の叫びのような声が 細い路地に響きます。ファディスタという歌い手と ギターラと呼ばれる12弦のポルトガルギター、一般のクラシックギターにあたるヴィオラという楽器が 必ず伴奏に寄り添い、コントラバスが加わることもあります。 では その歌声を聴いていただきましょう。 まずは 女王と言われたアマリア・ロドリゲスで 運命のファド、そして マリア・アナ・ボボーネで アルマレス、2曲 続けて どうぞ

運命のファド  
アルマレス         

アマリア・ロドリゲスで 運命のファド、そして マリア・アナ・ボボーネで アルマレスでした。私は 今回 クルベ・デ・ファドという リスボンでも有名な ファドハウスで楽しんできました。 オーナーは 有名なギタリスト、マリオ・パシャーコ、食事も本格的にできますが、観光客相手のショーというよりも こじんまりとした、雰囲気の良い店でした。 30分歌っては 1時間近く休み、次の歌が始まる、という具合に 夜中の2時くらいまで 繰り返し続きます。 その日は 最初が女性の歌い手、次が男性で 伴奏の楽器も 変わりました。 もっと 地元の人が行くような居酒屋風なところは フラッと入れますが、こういうところは 必ず予約が必要です。 予算や時間、お腹のすき具合に合わせて 選ぶといいようです。では 今度は カルロス・ド・カルモの歌で リスボア・メニナ、そして ベヴィンダで もう決して、マニュエル・デ・アルメイダで 聖エスティヴァオ教会、3曲続けてお楽しみください。

リスボア・メニナ      
もう決して         
聖エスティヴァオ教会    

カルロス・ド・カルモの歌で リスボア・メニナ、そして ベヴィンダで もう決して、マニュエル・デ・アルメイダで 聖エスティヴァオ教会でした。 リスボンは 7つの丘と呼ばれ、坂道が大変多いところです。その起伏に富んだ地形が 美しい街並みを作っていますが、歩くには 少々大変なことも。そこで 活躍するのが 街の名物にもなっている市電です。ゴトゴトとのんびり走る市電に乗って リスボンの町を走っていると 海風も心地よく、好きなところで降りて 少し歩き、また 乗って歩く、ヴィア・ヴィアジェンというカードを買って 乗り放題にすれば 地下鉄でもバスでも市電でも 自由自在に乗り降りできます。 リスボンの旧市街は バイロ・アルト地区とアルファマ地区、そして、その2つの丘に挟まれたバイシャ地区の3つに集約されていて 距離にすれば大して広くはありません。バイシャ地区は リスボンでも もっとも賑やかな繁華街、観光の中心で レストラン、土産物店が集中しています。その ほぼ中心にある サンタ・ジュスタのエレベーターで頂上に登れば リスボンの街並みが一望でき、美しい海も見渡せます。あまりに きれいなので 2回も上ってしまいました。 ここから 1755年に起きたリスボンの大地震で崩れたカルモ教会の裏側に出ることができ、地震で崩れたそのままの姿を垣間見ることもできます。では また 3曲続けて。 マリア・アマンダの歌で 老いた船乗り、フェルナンド・ファリナで マルシネイロへのファド、マリア・ディラルで 三つの声、どうぞ。

老いた船乗り        
マルシネイロへのファド   
三つの声          

マリア・アマンダの歌で 老いた船乗り、フェルナンド・ファリナで マルシネイロへのファド、マリア・ディラルで 三つの声でした、いかがでしたか? バイシャ地区の西側に広がるのが「高い地区」という意味の バイロ・アルト、ファドハウスやレストランが多く点在するエリアです。反対側のアルファマ地区は 今日 ご紹介しているファドの博物館もあり、小さいファドハウスが多く軒を連ねる リスボンでも 古い地区です。大地震の被害をあまり受けなかった地域なので 古い街並みが色濃く残っています。クネクネと細い路地が入り組んでいて 迷い込みながら歩くのが とても楽しいところです。普通の土産物店とは違う、オーナーの個性が光る品物を並べる センスのよい店も多く、私のお気に入りのエリアとなり、連日 通っていました。 このあたりから バスで少し行くと ポルトガルの誇る陶器、アズレージョを紹介する美術館があります。ポルトガルのことを調べていて、ぜひ見たい、と思っていた美術館でした。街の中心から 少し離れていることもあって、観光客の姿も少なく、ゆっくりと その高い芸術品を鑑賞することができました。アズレージョとは ポルトガルの芸術を語る上では欠かせない 装飾タイルのことで、街なかや教会、お城の壁面に多く使われています。 リスボンの郊外にいくと アズレージョの工房があり、自分で体験もできるようでしたが 今回は時間がなく、残念でした。次回はぜひ、と思っています。 では またファドに戻りましょう。 フェルナンド・マウリッチオで 窓に君の名を書いた、マリア・ダ・フィエで ファド・エンラド、ロドリーゴ・コスタ・フェリックスで いまも愛している、マネで 川で洗濯する人々、4曲続けてどうぞ。

窓に君の名を書いた     
ファド・エンラド      
いまも愛している      
川で洗濯する人々      

フェルナンド・マウリッチオで 窓に君の名を書いた、マリア・ダ・フィエで ファド・エンラド、ロドリーゴ・コスタ・フェリックスで いまも愛している、マネで 川で洗濯する人々でした。 リスボンから市電で30分ほどテージョ川沿いを走ると 世界遺産のベレンに着きます。大航海時代 エンリケ航海王子とヴァスコ・ダ・ガマが 新天地開拓へと乗り出していく航海の安全を祈願して マヌエル一世が1世紀の歳月と巨額の富をつぎ込んで建設した ジェロニモス修道院は圧巻です。 発見のモニュメント、ベレンの塔、昔 教科書の中で見た、そのままが目の前にあって ポルトガルと日本の深い貿易の関係を考えたりしました。 調べてみると ポルトガル語がそのまま日本語になっている言葉も多く、町の人々も親切で、親しみやすい町、という印象が強く残りました。 では もう少し ファドをお楽しみいただきましょう。 ドゥルス・ポンテスで 白い艀(はしけ)、ジャーオ・ブラガでオンリー・ラブ、セレステ・ロドリゲスで ガイヴォータ・ペルディータ、ロドリーゴで サルヴァテッラ最後の闘牛、アナベラで私の嫉妬、続けて どうぞ。

白い艀(はしけ)          
オンリー・ラブ       
ガイヴォータ・ペルディータ 
サルヴァテッラ最後の闘牛  
私の嫉妬          

ドゥルス・ポンテスで 白い艀、ジャーオ・ブラガでオンリー・ラブ、セレステ・ロドリゲスで ガイヴォータ・ペルディータ、ロドリーゴで サルヴァテッラ最後の闘牛、アナベラで私の嫉妬でした。 いかがでしたか? ギターラやヴィオラの 愁いのある音色と歌声、石造りの店内で ポルトガル名物の甘いポートワインを片手に聴くと さらに気分が盛り上がります。 残念なことに ポルトガル出身の作曲家は多くありません。 クラシックの有名な人がいないので お隣の国、スペインから ギターの名曲をお楽しみいただきたいと思います。ナルシソ・イエペスのギター、ルイス・アントニオ・ガルシア・ナバロの指揮、フィルハーモニア管弦楽団の演奏で ロドリーゴのアランフェス協奏曲を どうぞ。
                          
アランフェス協奏曲 

ナルシソ・イエペスのギター、ルイス・アントニオ・ガルシア・ナバロの指揮。フィルハーモニア管弦楽団の演奏で ロドリーゴのアランフェス協奏曲でした。 今日は ポルトガルのリスボンをご案内しながら ポルトガルの伝統音楽、ファドの歌声を中心にお送りしてきました。いかがでしたか? 来週のこの時間は 川口 博さんのオペラ、そして 来月の室内楽の時間は 引き続き、ポルトガルの旅の様子、オビドス、シントラ、そして ユーラシア大陸西の果て、ロカ岬をご案内しながら 新しいファドの女王の歌声をたっぷりとご紹介しようと思っています。 では 今日はこの辺で、ご案内は三浦郁子でした。
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