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2012年12月放送 [2012年 ON AIR]

2012年12月放送

こんばんは、三浦郁子です。 今年も残すところ あと1週間余り 、みなさまにとって、この1年、どんな年になったでしょうか。 師走の慌ただしさの中ではありますが、お休み前のひととき、美しいクラシック音楽の調べを しばし、お楽しみください。
明日はクリスマスイブ、毎年12月の室内楽の時間には クリスマスにちなんだ曲を集めて ご紹介しています。今日は クリスマス・アダージョ・カラヤンと題されたアルバムをご紹介しましょう。お馴染みのヘルベルト・フォン・カラヤンが ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とベルリン・フィルハーモニー・ブラス・アンサンブルを率いて 演奏しているクリスマス曲集です。ブラス・アンサンブルというと 思い出すのが クリスマス時期に滞在していた ベルリンのことです。 ベルリンフィルで ブリテンの戦争レクイエムを聞いて ホールの外に出ると、雪がちらつく寒い中、ブラスアンサンブルの5人が ホールから出てくる人のために クリスマスソングを演奏していました。 そばには ホットワインの屋台、すぐに立ち去るのが惜しくて ホットワインを飲みながら 凍てつく寒さの中、しばし 聞きいったのを覚えています。 派手なネオンサインや街の音楽もなく、しんしんと雪が降る中、ブラスの音だけが 響き渡り、とても おごそかな雰囲気でした。
では 演奏をご紹介しましょう。まずは トレッリのクリスマス協奏曲 ト短調、カラヤン指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏で どうぞ

トレッリ:クリスマス協奏曲 

カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で トレッリのクリスマス協奏曲ト短調でした。 次は レスピーギのシチリアーナ、有名な リュートのための古風な舞曲とアリアの第3番です。

レスピーギ:シチリアーナ 

レスピーギ、リュートのための古風な舞曲とアリア第3番 シチリアーナでした。いかがでしたか? どこかで 聞いたことのある方も多い曲かもしれませんね。では 次は あまり知られていない作曲家ですが、フランチェスコ・オノフリオ・マンフレディーニの作品をご紹介しましょう。 クリスマス協奏曲、ハ長調 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏でどうぞ。

マンフレディーニ:クリスマス協奏曲 

ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏でマンフレディーニのクリスマス協奏曲でした。
次は ヘンデルの合奏協奏曲から ミュゼット、全5楽章からなるこの第6番の合奏協奏曲の 第3楽章です。 ではどうぞ

ヘンデル:ミュゼット 

ヘンデルの合奏協奏曲第6番の第3楽章 ミュゼットでした。 次は ピエトロ・アントニオ・ロカテッリの作品をご紹介しましょう。 ロカテッリはのちに 鬼才パガニーニに大きな影響を与えた、といわれる作曲家です。 では ロカテッリの作品の中から、クリスマス協奏曲ヘ短調を どうぞ。

ロカテッリ:クリスマス協奏曲 

ロカテッリのクリスマス協奏曲でした。いかがでしたか? ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で 様々な作曲家のクリスマス協奏曲を お聞きいただいています。 クリスマス協奏曲最後は アルカンジェロ・コレッリです。コレッリ自身が「キリスト降誕の夜のために」作曲した、と記しているように この音楽は クリスマスの真夜中のミサの合間に演奏されたそ言われています。 では コレッリのクリスマス協奏曲ト短調、どうぞ

コレッリ:クリスマス協奏曲 

ヘルベルト・フォンカラヤン指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏で コレッリのクリスマス協奏曲でした。 いかがでしたか? 
さて、この時期の音楽、といえば やはり この曲、チャイコフスキーのくるみ割り人形でしょう。NYのメトロポリタンオペラハウスでは この時期、バレエ、くるみ割り人形と、プッチーニのラ・ボエームを上演します。これらを聞くと クリスマス気分が盛り上がり、また今年も終わりだなあ~という少し 寂しい気持ちもこみあげてきます。日本でも、恒例の第九と並んで あちこちで上演していますから機会がありましたら ぜひ この時期に 劇場に足を運んで ご覧になって見てください。では、アナトール・フィストラーリ指揮、ロンドン交響楽団の演奏で チャイコフスキー作曲、バレエ組曲「くるみ割り人形」 作品71、小序曲、行進曲、金平糖の踊り、ロシアの踊り、アラビアの踊り、中国の踊り、あし笛の踊り、花のワルツ、お楽しみください。

くるみ割り人形組曲               

アナトール・フィストラーリ指揮、ロンドン交響楽団の演奏で チャイコフスキー作曲、バレエ組曲「くるみ割り人形」 作品71 いかがでしたか? 今日は クリスマスにちなんだ曲を特集してお送りしてきました。クリスマスの音楽というと キャロルや教会の典礼音楽、あるいは オラトリオなど 声楽曲が 頭に浮かびますが、今日、ご紹介したような器楽の曲もバロック時代になってから多く作曲されました。楽しんでいただけたでしょうか。来週のこの時間は 今年最後の湘南クラシックサロン、蓮村 直さんの「映画に関連したクラシック曲」そして 新年最初の室内楽の時間は、南フランスのアルルをご案内しながら、フランスの作曲家の作品をご紹介しようと思っています。どうぞ お楽しみに。 (曲挿入)では 最後はこの曲、ベルリン・フィルハーモニーブラス・アンサンブルの演奏で きよしこの夜、今年最後の室内楽の時間、今年もありがとうございました。 皆様にとって 来る2013年が 今年以上に 素晴らしい年になりますように、来年も湘南クラシックサロンで お待ちしております。 では 少し早いですが、
MERRY CHISTMAS AND A HAPPY NEW YEAR。クリスマス
ご案内は三浦郁子でした。

きよしこの夜 

2012年11月放送 [2012年 ON AIR]

2012年11月放送

こんばんは、三浦郁子です。 今日は ドイツのフライブルクをご案内しながら、マルタ・アルゲリッチのシューマン室内楽リサイタルを たっぷりとお聴きいただこうと思っています。 このアルバムは 1994年9月18日に オランダのナイメヘンで行われた「アルゲリッチ・ナイメヘン・コンサート」と題された コンサートのライブ録音です。では まず この曲から。シューマンのピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44.マルタ・アルゲリッチのピアノ、ドラ・シュバルツベルグとルーシー・ホールのヴァイオリン、今井信子のヴィオラ、ミシャ・マイスキーのチェロで どうぞ。

ピアノ五重奏曲                 

マルタ・アルゲリッチのピアノ、ドラ・シュバルツベルグとルーシー・ホールのヴァイオリン、今井信子のヴィオラ、ミシャ・マイスキーのチェロで シューマンのピアノ五重奏曲でした。スイスのバーゼルまで 列車で30分、フランスへも近い国境の町ドイツのフライブルクは スイスのベルンをお手本として 街が作られ、ベルンとは姉妹都市となっています。黒い森 シュバルツバルトへの玄関口として 観光のベースとなっている街でもあります。街の中心は なんとっても 大聖堂、ロマネスク様式とゴシック様式の折り混ざる、ドイツでも屈指の建築物です。 内部には 芸術価値の高い彫刻や絵画も多く、116mの塔からの眺めも美しく、大聖堂の前には 毎日 朝市がたち 多くの人々で賑わっています。 市電が 縦横に走っていて これで ほぼ 街の中は移動できます。環境都市なので 車はなるべく使わず フライブルクでは 公共の乗り物を使うことが一般的になっています。 では ここで もう一曲、マルタ・アルゲリッチと、アレクサンドル・ラビノヴィチのピアノ、ナタリア・グートマンとミシャ・マイスキーのチェロ、マリー・ルイーズ・ノイネッカーのホルンで、2台のピアノ、2つのチェロ、ホルンのためのアンダンテと変奏曲  作品46を どうぞ お聴きください。

2台のピアノ、2つのチェロ、ホルンのためのアンダンテと変奏曲  作品46
  

マルタ・アルゲリッチと、アレクサンドル・ラビノヴィチのピアノ、ナタリア・グートマンとミシャ・マイスキーのチェロ、マリー・ルイーズ・ノイネッカーのホルンで、2台のピアノ、2つのチェロ、ホルンのためのアンダンテと変奏曲  作品46でした。 ちょっと珍しい編成の曲でしたが いかがでしたか? さて、私は 1999年から 2000年にかけての一ヶ月、このフライブルクにアパートを借りて 住んだことがあります。ちょうど 2000年 ミレニアム問題があり、大学都市でもあるフライブルクでは 早くから 様々な準備をして、不測の事態に備えました。 大晦日、カウントダウンがあると聞いて 夜遅くに 友人たちと街の中心へ出かけたのですが、これが 大変でした。爆竹、花火、一番 怖かったのは 火炎瓶のようなもので 頭上を 火花が飛び交うなか、早々に退散したのを覚えています。 翌日、また友人たちと フランスのコルマールへ行こうとして 車で街を通りましたら ゴミの山で、環境都市の面影はなく、道路を清掃する人が 大勢出て 掃除を始めるところ、それも帰宅するころには 跡形もなく きれいになっていたので びっくりしました。 フランスのコルマールは ライン川をへだてて、向かい側に位置する 小さい町ですが、ここには 重要な美術館があり、ランチを兼ねて、フライブルクやバーゼルから人々が集まります。 スイスから フランス、ドイツ、オランダと流れるライン川は シューマンが投身自殺を図ったところでもあります。流域の町はその発展に欠かせない 大事な交通の要所となっており、ドイツのライン川流域は美味しいワインの産地にもなっています。 では ここで もう一曲、アレクサンドル・ラビノヴィチのピアノ、ドラ・シュバルツベルグのヴァイオリン、今井信子のヴィオラ、ナタリア・グートマンのチェロで、シューマンのピアノ四重奏曲、変ホ長調 作品47を どうぞ。


ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47 

アレクサンドル・ラビノヴィチのピアノ、ドラ・シュバルツベルグのヴァイオリン、今井信子のヴィオラ、ナタリア・グートマンのチェロで シューマンのピアノ四重奏曲でした。フライブルクは 早くから 環境都市として 立ち上がり、太陽発電、風力発電の試みをし、資源再生利用を 積極的に推進してきました。 十数年前でも 資源の分別は徹底しており、瓶の色によって 捨てる場所、再生目的が違うのに驚きました。なるべく 再利用できるものは 店に持っていって 持参した瓶に詰めてもらう、ラベルもなるべく貼らず、再生が簡単なように配慮されています。 市民は 派手な包装の商品よりも 再生可能な簡易包装を選び、ビニールよりも紙、プラスチックよりも瓶、というように 考えて生活をしているように思いました。 スーパーマーケットでは なるべく買い物をせず、広場の朝市で 持っていった袋に野菜や果物、肉を入れてもらって ゴミを少なくすることが 家でのゴミの処理を簡単にすることでもあるので すすんでやっています。 私も最初は 生ゴミをアパートの前の巨大なゴミ箱に 直に入れるのは抵抗がありましたが、それもすぐに慣れて ゴミを少なくする工夫を楽しみながらやっていました。 ドイツの一番南にあるので 冬でも すごしやすく、スイス、フランスに近いせいもあり、売っているもののセンスもよく、食べ物もバラエティーに富んでいて とても暮らしやすい町です。 では ピアノとチェロのための 幻想小曲集 作品73を マルタ・アルゲリッチのピアノ、ナタリア・グートマンのチェロでどうぞ。
ピアノとチェロのための幻想小曲集 作品73 

マルタ・アルゲリッチのピアノ、ナタリア・グートマンのチェロでピアノとチェロのための幻想小曲集でした。いかがでしたか? ドイツのフライブルクをご案内しながら シューマンの作品をお送りしてきた今日の 湘南クラシックサロン、最後は ピアノとヴィオラのための4つの小品 「おとぎの絵本」作品113、マルタ・アルゲリッチのピアノ、今井信子のヴィオラで お楽しみください。

「おとぎの絵本」ピアノとヴィオラのための 4つの小品 作品113
 
                                 
マルタ・アルゲリッチのピアノ、今井信子のヴィオラで、ピアノとヴィオラのための4つの小品「おとぎの絵本」をお聞きいただいています。今日は シューマンの作品でお楽しみいただきました。 いかがでしたでしょうか。 来週のこの時間は 川口博さんのオペラ、そして 来月の室内楽の時間は 恒例のクリスマス特集をお送りする予定です。どうぞお楽しみに。では 今夜はこのへんで。 ご案内は三浦郁子でした。

2012年10月放送 [2012年 ON AIR]

2012年10月放送

今月から 日曜日の夜にお送りしている 湘南クラシックサロン、お休み前のひととき、豊かなクラシックの音色で どうぞ お楽しみください。 さて 今日は 今年の夏、日本中が 大いに盛り上がった オリンピック、開催国イギリスのロンドンを ご案内しながら ウィリアム・ウォルトンの作品を中心にお送りしたいと思います。 あまり 馴染みのない作曲家ではありますが、個人的には とても好きな作曲家の一人です。 これ胃を機会に 覚えていただけたら 嬉しいです。 では まずは どなたでも 一度は耳にされたことのある、このイギリスの曲から。 エルガーの威風堂々、オリンピックのメダリストの顔を思い浮かべながらお聴きください。サー・チャールズ・グローブ指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏で、エルガーの威風堂々。

エルガー:威風堂々 

サー・チャールズ・グローブ指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏で、エルガーの威風堂々でした。いかにも 胸を張って 行進したくなるような曲です。 私が NYのジュリアード音楽院を卒業した日、晴れの卒業式で オーケストラが演奏するこの曲にあわせて 入場したことを よく覚えています。 この曲を聴くと 晴れやかで 誇らしげなワクワクした思いがよみがえってくるようです。 さて、ロンドンは 世界の中でも いらしたことのある方が多い街のひとつでしょう。 ヨーロッパに行くときには ハブ空港になっていますし、ヨーロッパにありながら イギリスは英語圏で 自然豊か、旅行しやすい国でもあると思います。ロンドンは 世界の金融・経済の中心地、また 文化的にも 先端を行く 若者にも人気のある都市、ロンドンでの流行は世界の流行とも言えるでしょう。いまでこそ、世界が狭くなり、どこの国のどんな音楽でも インターネットで すぐにダウンロードできる時代ですが、いまだに 古いビートルズのレコードを手放せないでいる方も多いはずです。 ロンドンの印象は イギリスの他の都市同様、大都市でありながら 緑が多い、ということです。 名物の赤い二階建てバスと あちこちにある 大小様々な公園の緑のコントラストは美しく、また イングリッシュガーデンは 芸術品、少し郊外にいけば 個人宅でも 美しいバラ園や庭を楽しむことができます。 伝統的な色彩の濃い国にあって、これから ご紹介するウィリアム・ウォルトンは 少し異色の芸術家だったようです。 1902年に生まれた彼はいまでこそ、イギリスが誇る国民的作曲家ですが、当時は 今で言うラップを取り入れた音楽形態や カーテンの後ろからメガホンで音を出すというような イギリスの紳士淑女から 眉をひそめられてしまうこともあったようです。 ただ、若手の音楽家や詩人、画家たちからは 注目を集め、一躍 イギリスの音楽シーンで有名になってしまったのですから 何が幸いするかはわかりません。 では ここで ウォルトンのピアノ四重奏曲を 聴いていただきましょう。ケネト・シリトのヴァイオリン、ロバート・スミッセンのヴィオラ、ステファン・オルトンのチェロ、ハミッシュ・ミルネのピアノでどうぞ。

ウォルトン:ピアノ四重奏曲 

ケネト・シリトのヴァイオリン、ロバート・スミッセンのヴィオラ、ステファン・オルトンのチェロ、ハミッシュ・ミルネのピアノで ウォルトンの ピアノ四重奏曲でした。いかがでしたか? まだ 演奏したことがないので 近いうちにぜひ、と思っている曲のひとつです。 ご存じの方も多いと思いますが、イギリスには ナショナル・トラストという制度があります。 自然遺産や歴史的遺産を維持する団体ですが、この団体の面白いところは ただ 維持するのではなく、ホテルや観光として 活用しながら 当時のままの姿で 維持・管理していくという点です。 そのひとつが マナーハウスと呼ばれる宿泊施設です。 イギリス全土に点在していますが もちろん ロンドン近郊にも多くあります。ホテルのように 設備が充実しているか、といえば 十分ではないかもしれませんが、古きよき時代に思いをはせて 一夜を過ごすのは とても趣のあるものです。たいていは交通の便が悪いので レンタカーを借りて ゆっくり旅をしながら 泊まり歩くのがお勧めです。 では ウォルトンをもう一曲、私の大好きな曲です。ウォルトンのヴィオラ協奏曲を ユーリ・バシュメットのヴィオラ、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団の演奏で お楽しみください。

ウォルトン:ヴィオラ協奏曲 

ユーリ・バシュメットのヴィオラ、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団の演奏で、ウォルトンのヴィオラ協奏曲でした。 さて、ここで イギリスの作曲家をもう一人 ご紹介しましょう。 名前をきいて ピンとこない方でも この曲を聴けば 必ずうなづけるはずです。ではケテルビーの作品から ジョン・ライチベリー指揮、フィルハーモニアオーケストラの演奏でペルシャの市場にて、修道院の庭で、ジプシーの少年、3曲続けてどうぞ。

ケテルビー:ペルシャの市場にて 
      修道院の庭で      
      ジプシーの少年    

ジョン・ライチベリー指揮、フィルハーモニアオーケストラの演奏で、ケテルビーのペルシャの市場にて、修道院の庭で、ジプシーの少年でした。いかがでしたか?  ロンドンは 早くに地下鉄の整備が進み、昨今では その老朽化が問題となっています。 毎朝、必ず どこかの地下鉄が 運休、遅れ、テレビのテロップに出ます。それを確認して、通勤ルートを変えたりするようですが、乗っている間に 意味もなく 止まってしまうこともしばしば。 私の3日間の滞在中に 3回 閉じ込められました。 いずれは動くのですが、長距離列車の予約をしている場合は 慌てます。たまに 時刻通りに発車、到着すると なんだか おかしな気分になりますが、そろそろ 地下鉄の大改修が必要なのかもしれません。では 今日、最後の曲、ウォルトンの協奏交響曲を カスリーン・ストットのピアノ、ヴィーノン・ハンドレ指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏でどうぞ。

ウォルトン:協奏交響曲 

ウォルトンの協奏交響曲を カスリーン・ストットのピアノ、ヴィーノン・ハンドレ指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏でお聞きいただきました。 いかがでしたか?今日は イギリス・ロンドンをご案内しながら ウォルトンを中心にしたイギリスの作曲家の作品をご紹介してきました。 来週のこの時間は 川口 博さんのオペラ、そして 来月の室内楽の時間は ドイツのフライブルクをご案内しながら シューマンの作品をご紹介しようと思っています。どうぞ お楽しみに。では 今夜はこの辺で。ご案内は三浦郁子でした。

2012年9月放送 [2012年 ON AIR]

2012年9月放送

暑かった夏が終わり、秋の気配がしてきました。 三浦郁子です。 今日は 先月に引き続き、7月に旅した ポルトガルをご案内しながら 今 話題のファドの歌い手、テラ・マリーザをたっぷりと 聴いていただきたいと思っています。その前に ちょっと演奏会のご案内です。 10月6日 土曜日、午後2時から藤沢のリラホールで 湘南コンサートの会主催の室内楽演奏会が開催されます。 曲目はアレンスキーのピアノ三重奏曲とベートーベンのピアノ三重奏曲「大公」です。ヴァイオリンは NHK交響楽団の木全利行さん、チェロは同じくNHK交響楽団の次席チェロ奏者、藤村俊介さん、そして ピアノは私、三浦郁子です。

演奏会の詳細、また チケットのお申込みは 湘南コンサートの会、電話0466-22-2721までお願いいたします。チケットは一般3000円、学生2000円、湘南コンサートの会会員は無料です。では マリーザの素晴らしい歌声から、悲しみは終わった、私の心、2曲 続けてどうぞ。

悲しみは終わった  
私の心             

テラ・マリーザの歌で 悲しみは終わった、私の心、でした。 テラ・マリーザは 1973年 アフリカ南東部のモザンビークで生まれました。 モザンビークは 1975年の独立まで 400年以上に渡り、ポルトガルに植民地支配され続け、その間、ブラジルへも たくさんの黒人奴隷が売られていったそうです。 マリーザの父はポルトガル人で母はモザンビークの女性、彼女が3歳のときに ポルトガルに帰国、リスボンのアルファマ地区で育ちました。 まさしく ファドの聖地とも言うべきアルファマ地区でファドの歌い手、ファディスタ マリーザが生まれたわけです。 両親が経営していたレストランで歌い始めた彼女は メキメキ頭角を現し、最初のアルバムは いきなり10万枚の記録的ヒットとなり その地位を確立、今 人気・実力ともに ナンバー1の若手歌い手となっています。 では そのマリーザの歌声を もう少し。 白いバラ、心のファド、続けてどうぞ。

白いバラ             
心のファド            

マリーザで 白いバラ、心のファドでした、いかがでしたか? リスボンの友人に 誰が人気があるのか、聞いてみたところ、即座にマリーザの名前が出てきたので ファド博物館の視聴室で 早速聞いてみて たちまち ファンになってしまいました。2009年には日本にも来ています。 さて、週末を利用して リスボン郊外へ出かけました。 バスで1時間ほどのところにある 小さな村、オビドスです。 周囲を城壁で囲まれた とても小さい村ですが、ここには カステッロ・オビドスという ポザーダがあります。 ポザーダというのは ポルトガルに点在する 38軒の古城や修道院など 歴史的な建築物を利用して 改装した国営ホテルのことです。 2007年に その中の トップ7が決まり、さらに その中でも 人気ベスト3に入るのが このオビドスにある ポザーダ・カステッロです。 村の端っこにそびえる石造りの城、この15世紀の城を改装したホテルにしたものです。3つある塔の内部も客室になっていて 今回は そのスイートに泊まりました。 小さな城で 客室は 全部で たった9室、その内 スイートが3つあります。 スイートといっても 昔の城ですから 広くはありませんが 塔の内部、一階が バスルームとリビング、螺旋階段を上ると そこが ベッドルームという造りになっていて、雰囲気が楽しめます。 ここのレストランも人気があり、マニュエル様式の出窓になっている席は いつも人気の的です。 実は 我が家は今月、結婚25周年の銀婚式、それで 一足早く、ここで 銀婚式のお祝いをしてきました。 ポルトガルの小さな村の古城、雰囲気は抜群だったのですが、なんと 主人が螺旋階段を踏み外し 剥離骨折、古城の暗い部屋で 湿布を貼りながら大笑い、 健康第一、が教訓となった銀婚式祝いでした。では ここで またマリーザの歌を聴いていただきましょう。くちづけ、海の声、開拓、3曲 続けてどうぞ

くちづけ             
海の声              
開拓               

マリーザの歌で くちづけ、海の声、開拓でした。 翌日、オビドスを早朝 あとにして バスでリスボンに戻り、電車で 世界遺産の町、シントラへ向かいました。ポルトガルは 交通の便がいいとはいえない上、週末は 極端にバスや電車の便が減るので 注意が必要です。 レンタカーを借りて ポルトガルの小さな村をまわっているアメリカ人夫婦に会いましたら「レンタカーは便利だけど 村の中に入ると あまりに路地が細くて 運転が難しい、日本人なら大丈夫かもしれないわね」と笑っていました。 シントラは イギリスの詩人、バイロンが「この世のエデン」と称えた美しい景観を持つ町で 世界遺産にも登録されています。王宮を中心として、緑深い山の中に 美しい城や貴族の別荘が点在し、観光客にも人気が高いようです。ベーナ宮殿、レガレイラ宮殿の見事な景観と その贅を尽くした建築は、昔も今も 多くの人々に愛されて 訪れる人が絶えません。 シントラでは イベリア半島で一番古いホテルに宿泊しました。創業は1764年、バイロンも滞在したそうで、彼が泊まった部屋も残されています。 私は 世界各地で 数え切れないほどのホテルに泊まりましたが、ここは 今まで泊まったホテルの中でも ベスト3に入ると思います。 レセプションの対応も素晴らしく親切で、私たちの泊まった部屋は 「お茶の部屋」という もともとサロンだった部屋で 明るい角部屋のリビングに こじんまりとした寝室、バスルームも センスのよいデザインでまとめてあり これで一泊 二人で1万円を切っていました。高い料金を出せば もっと豪華なところは いくらでもありますが、料金とサービス、居心地のよい空間をトータルで考えて たぶん もっとも価値のあるホテルだったと思います。 ここのレストランも最高でした。夕食はちょっと奥まったプライベートな空間で、朝食はテラスで、翌日のランチも 緑いっぱいの庭に面したテーブルで楽しみました。 味も美味しく、サービスも完璧で それでいて リラックスできる。旅で疲れた体を休める、という目的以上の価値があるホテル・ローレンス、できることなら 数日 滞在したいところでした。 では マリーザの歌を続けましょう。 アルファーマ、モウラリアの居酒屋、風の魂、3曲 続けて どうぞ。

アルファーマ           
モウラリアの居酒屋        
風の魂⑩

マリーザで アルファーマ、モウラリアの居酒屋、風の魂でした。 シントラからバスで1時間ほどで、ユーラシア大陸西の果て、ロカ岬に行くことができます。北緯38度47分、西経9度30分 140mの断崖絶壁の上に、ポルトガルの詩人、カモンイスが詠んだ詩の一節が刻まれた石碑が立っています「ここに地果て、海始まる」ポルトガルは大西洋に面している、と実感できます。 インフォメーションに行くと 最西端到達証明書を書いてくれます。名前と日付を 古式ゆかしい字で書いてくれるので 私も記念に書いてもらいました。 ヨーロッパもあちこち行きましたが、ついに ユーラシア大陸の西の果てにも立ち、この大西洋の先には アメリカ大陸があるのだ、と思うと なんとなく世界が狭いようにも感じました。スペインに寄りそうような国、ポルトガルは スペインと風土や人間の気質が似ているのか、と思っていましたが、実際は ポルトガルはポルトガルで スペインとは 全く違う、地中海気候、気質とは違う性質をもった 独特の雰囲気を持った国でした。 陽気な性格でありながら 少しシャイで 丁寧、もてなす心を持ち、誠実なポルトガル人は 旅人を心地よく 迎え ポルトガルの旅をとても楽しいものにしてくれました。 また ぜひ行ってみたいと思っています。 では マリーザのファド、おしまいはこの4曲、言葉が指示してくれるなら、ギターラ、小さな真実、私の家、続けてどうぞ

言葉が指示してくれるなら     
ギターラ             
小さな真実            
私の家              

マリーザの歌で言葉が指示してくれるなら、ギターラ、小さな真実、私の家でした。今日は 今 人気・実力ともナンバー1の ファディスタ、テラ・マリーザのアルバムをお送りしてきました。 今日の最後は スペインの作曲家、アルベニスの作品をお聞きいただこうと思います。マヌエル・バルエコのギターで アルベニスのスペイン組曲 作品47、完全全曲版で どうぞ

スペイン組曲 TOCE-13047  

マヌエル・バルエコのギターで アルベニスのスペイン組曲 作品47、完全全曲版でした。いかがでしたか? 今日は 2か月に渡ってお送りしてきた リスボンの旅、後半をご報告しながら テラ・マリーザの歌声を中心にお送りしてきました。 来週のこの時間は 蓮村 直さんの「映画に関連したクラシック曲」そして 来月の室内楽の時間は 熱戦で日本中が沸いたオリンピックが行われた イギリス・ロンドンをご案内しながら イギリスの作曲家の作品を ご紹介する予定です、どうぞお楽しみに では 今日はこのへんで、ご案内は三浦郁子でした。

2012年8月放送 [2012年 ON AIR]

2012年8月放送

暑い夏、いかがお過ごしでしょうか。三浦郁子です。 今月と来月、2回に渡って、先月行ってきたポルトガルをご案内しながら ポルトガルの伝統音楽、ファドを中心にお送りしたいと思っています。その前に ちょっと演奏会のご案内です。 10月6日 土曜日、午後2時から藤沢のリラホールで 湘南コンサートの会主催の室内楽演奏会が開催されます。 曲目はアレンスキーのピアノ三重奏曲とベートーベンのピアノ三重奏曲「大公」です。ヴァイオリンは NHK交響楽団の木全利行さん、チェロは同じくNHK交響楽団の次席チェロ奏者、藤村俊介さん、そして ピアノは私、三浦郁子です。演奏会の詳細、また チケットのお申込みは 湘南コンサートの会、電話0466-22-2721までお願いいたします。チケットは一般3000円、学生2000円、湘南コンサートの会会員は無料です。
さて、日本が早々 猛暑に見舞われた7月はじめ、反対に 季節外れに涼しかったポルトガルを旅してきました。今日は リスボンと世界遺産のベレン、来月は近郊の古い町、オビドスとシントラ、さらには ユーラシア大陸最西端、ロカ岬をご案内する予定です。 まずは ポルトガルの伝統音楽、ファドについて 少しご説明しましょう。 ファドは どちらかというと 社会の底辺にいる下層階級の人々が 日々の辛い生活の中で 悲哀をこめて歌ったものが 大衆に広まったものです。 起源は諸説あるようですが、ブラジルでアフリカ人奴隷が親しんでいた官能的な音楽舞踊が、リスボンの下町に広がったという説が有力です。 スペインのフラメンコ、アルゼンチンのタンゴのように、大衆に寄り添い、暮らしに根付いた音楽と言えるでしょう。 リスボンでは アルファマという地区に ファドハウスと呼ばれる店が多く点在し、食事をしながら ファドを聴くことができます。早くても夜9時ごろから、夜が更けるまで 魂の叫びのような声が 細い路地に響きます。ファディスタという歌い手と ギターラと呼ばれる12弦のポルトガルギター、一般のクラシックギターにあたるヴィオラという楽器が 必ず伴奏に寄り添い、コントラバスが加わることもあります。 では その歌声を聴いていただきましょう。 まずは 女王と言われたアマリア・ロドリゲスで 運命のファド、そして マリア・アナ・ボボーネで アルマレス、2曲 続けて どうぞ

運命のファド  
アルマレス         

アマリア・ロドリゲスで 運命のファド、そして マリア・アナ・ボボーネで アルマレスでした。私は 今回 クルベ・デ・ファドという リスボンでも有名な ファドハウスで楽しんできました。 オーナーは 有名なギタリスト、マリオ・パシャーコ、食事も本格的にできますが、観光客相手のショーというよりも こじんまりとした、雰囲気の良い店でした。 30分歌っては 1時間近く休み、次の歌が始まる、という具合に 夜中の2時くらいまで 繰り返し続きます。 その日は 最初が女性の歌い手、次が男性で 伴奏の楽器も 変わりました。 もっと 地元の人が行くような居酒屋風なところは フラッと入れますが、こういうところは 必ず予約が必要です。 予算や時間、お腹のすき具合に合わせて 選ぶといいようです。では 今度は カルロス・ド・カルモの歌で リスボア・メニナ、そして ベヴィンダで もう決して、マニュエル・デ・アルメイダで 聖エスティヴァオ教会、3曲続けてお楽しみください。

リスボア・メニナ      
もう決して         
聖エスティヴァオ教会    

カルロス・ド・カルモの歌で リスボア・メニナ、そして ベヴィンダで もう決して、マニュエル・デ・アルメイダで 聖エスティヴァオ教会でした。 リスボンは 7つの丘と呼ばれ、坂道が大変多いところです。その起伏に富んだ地形が 美しい街並みを作っていますが、歩くには 少々大変なことも。そこで 活躍するのが 街の名物にもなっている市電です。ゴトゴトとのんびり走る市電に乗って リスボンの町を走っていると 海風も心地よく、好きなところで降りて 少し歩き、また 乗って歩く、ヴィア・ヴィアジェンというカードを買って 乗り放題にすれば 地下鉄でもバスでも市電でも 自由自在に乗り降りできます。 リスボンの旧市街は バイロ・アルト地区とアルファマ地区、そして、その2つの丘に挟まれたバイシャ地区の3つに集約されていて 距離にすれば大して広くはありません。バイシャ地区は リスボンでも もっとも賑やかな繁華街、観光の中心で レストラン、土産物店が集中しています。その ほぼ中心にある サンタ・ジュスタのエレベーターで頂上に登れば リスボンの街並みが一望でき、美しい海も見渡せます。あまりに きれいなので 2回も上ってしまいました。 ここから 1755年に起きたリスボンの大地震で崩れたカルモ教会の裏側に出ることができ、地震で崩れたそのままの姿を垣間見ることもできます。では また 3曲続けて。 マリア・アマンダの歌で 老いた船乗り、フェルナンド・ファリナで マルシネイロへのファド、マリア・ディラルで 三つの声、どうぞ。

老いた船乗り        
マルシネイロへのファド   
三つの声          

マリア・アマンダの歌で 老いた船乗り、フェルナンド・ファリナで マルシネイロへのファド、マリア・ディラルで 三つの声でした、いかがでしたか? バイシャ地区の西側に広がるのが「高い地区」という意味の バイロ・アルト、ファドハウスやレストランが多く点在するエリアです。反対側のアルファマ地区は 今日 ご紹介しているファドの博物館もあり、小さいファドハウスが多く軒を連ねる リスボンでも 古い地区です。大地震の被害をあまり受けなかった地域なので 古い街並みが色濃く残っています。クネクネと細い路地が入り組んでいて 迷い込みながら歩くのが とても楽しいところです。普通の土産物店とは違う、オーナーの個性が光る品物を並べる センスのよい店も多く、私のお気に入りのエリアとなり、連日 通っていました。 このあたりから バスで少し行くと ポルトガルの誇る陶器、アズレージョを紹介する美術館があります。ポルトガルのことを調べていて、ぜひ見たい、と思っていた美術館でした。街の中心から 少し離れていることもあって、観光客の姿も少なく、ゆっくりと その高い芸術品を鑑賞することができました。アズレージョとは ポルトガルの芸術を語る上では欠かせない 装飾タイルのことで、街なかや教会、お城の壁面に多く使われています。 リスボンの郊外にいくと アズレージョの工房があり、自分で体験もできるようでしたが 今回は時間がなく、残念でした。次回はぜひ、と思っています。 では またファドに戻りましょう。 フェルナンド・マウリッチオで 窓に君の名を書いた、マリア・ダ・フィエで ファド・エンラド、ロドリーゴ・コスタ・フェリックスで いまも愛している、マネで 川で洗濯する人々、4曲続けてどうぞ。

窓に君の名を書いた     
ファド・エンラド      
いまも愛している      
川で洗濯する人々      

フェルナンド・マウリッチオで 窓に君の名を書いた、マリア・ダ・フィエで ファド・エンラド、ロドリーゴ・コスタ・フェリックスで いまも愛している、マネで 川で洗濯する人々でした。 リスボンから市電で30分ほどテージョ川沿いを走ると 世界遺産のベレンに着きます。大航海時代 エンリケ航海王子とヴァスコ・ダ・ガマが 新天地開拓へと乗り出していく航海の安全を祈願して マヌエル一世が1世紀の歳月と巨額の富をつぎ込んで建設した ジェロニモス修道院は圧巻です。 発見のモニュメント、ベレンの塔、昔 教科書の中で見た、そのままが目の前にあって ポルトガルと日本の深い貿易の関係を考えたりしました。 調べてみると ポルトガル語がそのまま日本語になっている言葉も多く、町の人々も親切で、親しみやすい町、という印象が強く残りました。 では もう少し ファドをお楽しみいただきましょう。 ドゥルス・ポンテスで 白い艀(はしけ)、ジャーオ・ブラガでオンリー・ラブ、セレステ・ロドリゲスで ガイヴォータ・ペルディータ、ロドリーゴで サルヴァテッラ最後の闘牛、アナベラで私の嫉妬、続けて どうぞ。

白い艀(はしけ)          
オンリー・ラブ       
ガイヴォータ・ペルディータ 
サルヴァテッラ最後の闘牛  
私の嫉妬          

ドゥルス・ポンテスで 白い艀、ジャーオ・ブラガでオンリー・ラブ、セレステ・ロドリゲスで ガイヴォータ・ペルディータ、ロドリーゴで サルヴァテッラ最後の闘牛、アナベラで私の嫉妬でした。 いかがでしたか? ギターラやヴィオラの 愁いのある音色と歌声、石造りの店内で ポルトガル名物の甘いポートワインを片手に聴くと さらに気分が盛り上がります。 残念なことに ポルトガル出身の作曲家は多くありません。 クラシックの有名な人がいないので お隣の国、スペインから ギターの名曲をお楽しみいただきたいと思います。ナルシソ・イエペスのギター、ルイス・アントニオ・ガルシア・ナバロの指揮、フィルハーモニア管弦楽団の演奏で ロドリーゴのアランフェス協奏曲を どうぞ。
                          
アランフェス協奏曲 

ナルシソ・イエペスのギター、ルイス・アントニオ・ガルシア・ナバロの指揮。フィルハーモニア管弦楽団の演奏で ロドリーゴのアランフェス協奏曲でした。 今日は ポルトガルのリスボンをご案内しながら ポルトガルの伝統音楽、ファドの歌声を中心にお送りしてきました。いかがでしたか? 来週のこの時間は 川口 博さんのオペラ、そして 来月の室内楽の時間は 引き続き、ポルトガルの旅の様子、オビドス、シントラ、そして ユーラシア大陸西の果て、ロカ岬をご案内しながら 新しいファドの女王の歌声をたっぷりとご紹介しようと思っています。 では 今日はこの辺で、ご案内は三浦郁子でした。

2012年7月放送 [2012年 ON AIR]

2012年7月放送

三浦郁子です。 ポルトガルのリスボンから帰ってきたところです。 そのお話は 来月、することにして 今日は 北欧のコペンハーゲンをご案内しながら ニールセンとグリーグの音楽をご紹介しましょう。 まずはこの曲から。 ニールセンの弦楽四重奏曲 変ホ長調 作品14 オスロ弦楽四重奏団の演奏で どうぞ

ニールセン・弦楽四重奏曲 作品14

ニールセンの弦楽四重奏曲 変ホ長調 作品14 オスロ弦楽四重奏団の演奏でした。デンマーク生まれのニールセンは デンマークでは 神様のような作曲家、演奏会でも頻繁に演奏されます。日本では あまり馴染みがないかもしれませんが、もっと 演奏されてもいい作品だと思います。 さて、私ごとで 恐縮ですが、我が家は 今年銀婚式を迎えます。 実はコペンハーゲンは 結婚一周年を迎えた場所、たまたま旅行先に結婚記念日が重なっただけですが、ちょっと思い出深いところです。 だから、というわけではありませんが、とても好きな町のひとつです。 最初にストロイエという歩行者天国を作ったのが、この町だと言われていますが、町の中心は 時間に関係なく、歩行者天国となっていて、道路を渡るストレスもなく、ショッピングや散策を楽しむことができます。 まだ結婚して1年目、お金もなかった頃ですが、思い切って ロイヤルコペンハーゲンの本店に入り、二級品ではありましたが、クジャクが描かれた大皿を 記念に買いました。 今でも大事に使っています。 他の北欧の町と同じく、物価は決して安くありませんが、いいものを 長く使う精神は 若い人にも浸透していて、結婚しても すぐに すべてを揃えるのではなく、少しずつ お金をためて 食器も1枚ずつ買い足していくのが この町の人々です。 そのため ロイヤルコペンハーゲンのような老舗は 創業当時からデザインを変えないスタンダードな食器を作り続けていて、買い足すことが いつでもできるようになっています。家族が増えるたびに買い足す食器、とても素敵ですね。 それこそ、家族の歴史をみているようです。 ではここで ニールセンのオーケストラ作品を一曲、ニールセンのマスカレードを サウス・ジェットランドシンフォニーオーケストラの演奏で どうぞ

ニールセン:マスカレード 

サウス・ジェットランドシンフォニーオーケストラの演奏で ニールセンのマスカレードでした。いかがでしたか? コペンハーゲンで 私が好きな場所のひとつが 工芸博物館です。デンマークの誇るデザインを集め 芸術作品から実用的なものまで たくさんの作品をみることができます。 中庭も美しく、建物も とてもきれいなフォルムをしています。私は よく こういう博物館にいきますが、作品をみるのはもちろんのこと、ランチを食べることが多いです。一人だと なかなか 町のレストランに座るのが ためらわれますが、こういう美術館や博物館だと まったく違和感なく 気軽に立ち寄れます。 芸術作品を置く、こういう博物館は カフェの椅子やテーブルも 芸術作品であることが多く、新進気鋭の作家の作品に座りながら 軽食をとることも楽しみのひとつです。 ショップも充実しています。 ありきたりのお土産ではなく、こういう場所には センスのいい小物や文房具などが置いてあるので 軽くて小さいお土産を探すにはもってこいです。
では ここで ちょっと ニールセンから離れ、北欧の作曲家、グリーグの作品をご紹介しましょう。グリーグのヴァイオリンソナタ第3番 作品45を オリヴィエ・チェリエールのヴァイオリン、ブリジット・エンゲラーのピアノでどうぞ

グリーグ:ヴァイオリンソナタ 第3番

グリーグのヴァイオリンソナタ第3番 作品45を オリヴィエ・チェリエールのヴァイオリン、ブリジット・エンゲラーのピアノでした。 とても難しい曲ですが、弾いてみたい曲のひとつです。 コペンハーゲンに行くと 私が必ず立ち寄るお店を一軒、ご紹介しましょう。オフェリアという 羽毛布団のお店です。 最初に行ったときに ふらっと入ったのですが、なんと ここは 日本人女性がオーナーです。 このときは まだ 高級羽毛布団を買う余裕がなく、諦めたのですが、その次に行ったときには 一式 購入して 日本に送ってもらいました。 サイズや羽毛の重さ、枕の高さなど 細かくあるので 日本語で相談ができ、日本への発送、さらには 日本からの注文も可能なので とても嬉しいお店です。 3年前に行ったときには 替えのカバーを一式購入しました。 日本にはサイズがないので やはり 同じメーカーのものを買ったほうがいいし、なによりも質がいいです。寝ているときに 足に引っ掛からないように隠しボタンになっているなど、デザインにも 工夫が施されています。 高いばかりではなく、商品として プライドがあるところが 大好きです。 私は仕事の都合で行けないのですが、主人は来月10日ほど、コペンハーゲンに滞在予定、オフェリアで 何か買ってきてもらおうか、と検討中です。
では また ニールセンの曲にもどりましょう。ニールセンの 弦楽四重奏曲 ヘ長調 作品44を オスロ弦楽四重奏団の演奏でどうぞ

ニールセン:弦楽四重奏 作品44 
                               
                           
ニールセンの 弦楽四重奏曲 ヘ長調 作品44を オスロ弦楽四重奏団の演奏でした。
北欧は、今 白夜、夜 10時でも 明るいので つい 夜更かししてしまいますが、 当然 そのまま あまり暗くならないまま 朝になってしまうので、あまり 健康的とはいえないかもしれません。 分厚いカーテンをしたりして 無理に寝ますが、なんとなく安眠できないのは みな 同じ悩みのようです。 ただ、観光をするには いい季節、この時期は 夕飯のあと、遊園地も まだまだ 営業しているので たくさんの人が この季節を楽しんでいます。 では 今日、最後の曲、ニールセンのパンとシュリンクスをどうぞ。

ニールセン:パンとシュリンクス 

ニールセンの パンとシュリンクスでした。いかがでしたか? 今日は 北欧、デンマークのコペンハーゲンをご案内しながら ニールセンの作品を中心にお送りしてきました。
(BGM)来週のこの時間は 蓮村 直さんの「映画に関連したクラシック曲」 そして 来月の室内楽の時間は ポルトガルのリスボン報告をしたいと思っています。どうぞ お楽しみに。では 今日はこのへんで。ご案内は三浦郁子でした

(BGM)アラジン組曲 

2012年6月放送 [2012年 ON AIR]

2012年6月放送

三浦郁子です。インドから 帰ってきました、と申し上げるはずでしたが、実は インド旅行はドタキャンとなりました。 理由は色々あるのですが、大まかにいえば インド国内の飛行機が 経営状態悪化で運行しなくなり、移動の方法が当初の予定とかなり変更になったため、日程に不安が生じたためです。 列車、バスといった 代替案での対処になったわけですが、きっちり 定刻で運行することなどない国、帰国便に乗り遅れると 翌日は飛行機の便がないとか、困った状況が出てきました。 欧米と違って こちらは まだ学期の途中、主人も私も 仕事に支障が出ることが考えられたため、向こうの仕事は 泣く泣く 断りを入れました。 インドとネパールの国境、アルモラ、2000mの美しい村での滞在予定でしたが、残念でした。 きっとまたチャンスはあるでしょう。 でも せっかくインドのお話をする予定だったので、今日はインド音楽をご紹介しながら 以前、インドに行ったときのことを 少しお話したいと思います。 では まず この曲から。
インドの民族楽器、リュートに似たサロッドという楽器の演奏です、ラーガ・ミスラ・マンド、 サロッド奏者ムリナル・セン・グプタの演奏でどうぞ。

ラーガ・ミスラ・マンド 

インドの民族楽器、サロッドという楽器の演奏で、ラーガ・ミスラ・マンドでした。
私は過去、インドに2回行っています。以前に 南インド ケララ州のトリバンドラムというところを ご紹介したと思いますので、今回は チェンナイにある世界遺産、マハーバリプラムのご案内をしながら インド観光のノウハウをお話したいと思います。チェンナイは インドの南、ケララ州とは反対側の 東側に位置した海岸に面した町です。ご存じのように インドと一口に言っても 地域によって その発展度は様々で デリーのように 昔からの街は かえって昔ながらの街並みが残っているのに 今まで何もなかった田舎に 突然IT関連の大きな研究所ができたりして 急速に発展、欧米化したところもあります。 チェンナイは どちらかというと 後者のほうで、とてつもなく大きな コンピューターソフトの会社ができて、急に賑やかな町になったそうです。 とはいえ、車で15分も走ると のどかな田園風景に 牛や水牛、ヤギがのんびり道を渡っています。 世界遺産のマハーバリプラムは チェンナイの街から 車を飛ばして 1時間、ベンガル湾に面したところにあります。 海岸に砂でつくった 巨大な造形物が並んでいる、海岸寺院の世界遺産です。 すんなり入れると思ったら大間違いで ここから 執拗に迫ってくるガイドと物売りを なんとかすり抜けて海岸寺院に入るのが 一苦労です。 外人用の入場料は インド人のほぼ 10倍、500円くらいを支払って 7世紀に作られた海岸寺院に入ってみました。 では ここでもう一曲、同じくムリナル・セン・グプタのサロッド演奏で カシック・ダンスをどうぞ。

カタック・ダンス 

ムリナル・セン・グプタのサロッド演奏で カシック・ダンスでした。 マハーバリプラムの海岸寺院は ベンガル湾の穏やかな海と青い空を背に 2つの寺院で成り立っています。 本当に海の近くなのに、よく7世紀の昔から その姿を保っているものだと思います。インドの神様、シヴァとビシュヌが祭られていて 本当に 静かな佇まいです。
ところが 一歩 寺院を出ると ワラワラと物売りが寄ってきます。シルクの絵、楽器に絵葉書、仏像に貝殻のネックレス、とにかく 彼らは外国人の観光客がターゲットですから 行く手を阻むように どこまでも ついてきます。 買う気があれば ここで 値引き交渉が始めるのですが、それが もう交渉というよりは ゲームです。 たとえば、シルクの絵、300ルピーだと言われて それをそのまま買う人はいません。 まったく取り合わず 歩き続けると そのうち「いくらなら買うのか」と聞かれます。 そこで 少なくとも 半額、それ以下の値段を提示します。 もちろん、相手は 「とんでもない」というでしょうが、買う気がなければ それ以上 譲歩せず 断ります。 多少 買う気があれば こちらも 譲歩して「3枚500ルピーなら」というと「700ならどうか」と言ってきます。 もちろん 「3枚500以上は出さない」と突っぱねると ようやく商談が成立しますが、それでも「あと 50出してくれ」などと言われたら そこで 商談は決裂です。 あとは さっさと 3枚選んで そこを立ち去らないと「もっとどうか?」と勧めてきますので 長居は無用ですね。 では ここで一曲、同じく サロッドの演奏で ルーパック・タールをお聞きください。

ルーパック・タール 

サロッドの演奏で ルーパック・タールでした。 海岸寺院のそばに 5つの寺院があります。ここは 一つの巨大な岩でできた寺院で、インドの寺院のすべては ここの5つの寺院のどれかを基にして 造られているそうです。 細かい彫刻が見事で 素晴らしいものです。 このあたりでも 物売りの攻勢はすごく、ここでは しつこくガイドにもつきまとわれました。「自分はガイドではなく 人助けに案内をするのだ」と主張しますが、必ずあとで バクシーシという「施し」を要求してきますので きっぱりと断るのが賢明です。もし 本当に ガイドが必要なら きちんと 政府公認の名札をつけている人と 最初に値段の交渉をしてから、がいいと思います。 とはいっても その値段もあとで あれもやった、これも追加、と面倒なことを言ってくるので そういうのが嫌な人は 関わらないほうがいいでしょう。 では また一曲、同じく サロッドの演奏で ラーガ・ヘマント、どうぞ。

ラーガ・ヘマント 
                               
                                   
サロッドの演奏で、ラーガ・ヘマントでした。いかがでしたか? インドで 一番気をつけることは 飲み水です。 単に飲むだけではなく、水で洗ったものは要注意です。 笑い話があって インド旅行中 細心の注意を払い、インドの水を一切 口にせず 無事に過ごした人が 帰りの飛行機の中で出された生野菜を食べて 食当たりをした、という話です。飛行機の中、とはいえ インドの水で洗った生野菜ですから 油断禁物です。 でも しばらくインドに滞在していると それもストレスがたまってきます。 そういう時は 観光地に立つ、外資系のリゾートホテルのレストランに行ってみましょう。 生水は それでも怖いですが、アイスクリームくらいは 安心して食べられるでしょう。 歯を磨くときも 気をつけて ミネラルウォーターで 口をすすぐようにしないと危険です。では今度はインドの代表的な太鼓、ムリダンガムの演奏です。 ムリダンガム・ソロを ムリダンガム奏者、パルガート・ラグーの演奏で どうぞ

ムリダンガム・ソロ 

ムリダンガム・ソロでした。 いかがでしたか? インドの旅、色々 面倒そうだとお感じになったかもしれませんが、確かに 日本のような無防備ではいられないものの、底知れない魅力もあります。 「こういうものだ」と思えば 楽しいし、何か 枠のない、とても自由な気分にもなれます。 ぜひ一度、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
では ムリダンガムの演奏で、ボーギンドラ・サーイナムと ミーナークシを 続けてお楽しみください。

ボーギンドラ・サーイナム 
ミーナークシ 
                             

ムリダンガムの演奏で、ボーギンドラ・サーイナムと ミーナークシでした。今日は インドのお話をしながら インドの伝統楽器の演奏をお楽しみいただきました。いかがでしたか? (GBM)来週のこの時間は 蓮村 直さんの「映画に関連したクラシック曲」そして 来月の室内楽の時間は デンマークのコペンハーゲンをご案内しながら ニールセンの作品を中心にお送りしよおうと思っています。では 今日はこのへんで。 ご案内は三浦郁子でした

ティヤガラージャ

2012年5月放送 [2012年 ON AIR]

2012年5月放送

三浦郁子です。この放送を 皆さまがお聴きになっている頃、私は ヒマラヤにいるはずです。ヒマラヤ、といっても 滞在するのは インドとネパールの国境、アルモラという町です。インド側から ヒマラヤトレッキングをする人たちの拠点となる町として、近年、大きなホテルなども建てられています。 来月の放送では そのご報告ができると思いますので どうぞ お楽しみに。 今日は ロシアの作曲家の作品を ご紹介していこうと思いますが、残念なことに 私はロシアには行ったことがありません。トランジットで モスクワに一泊しただけで ウクライナのヤルタ近くへ移動してしまいました。 でも ロシアには 重要な作品がたくさんあるので 今日は 街のご案内は ありませんが、素晴らしい室内楽作品、それも ピアノ三重奏曲ばかり3曲、ご紹介しようと思っています。 では まず この曲から。ショスタコービッチのピアノ三重奏曲 ホ短調、作品67。ボザールトリオの演奏でどうぞ。

ショスタコービッチ:ピアノ三重奏曲 

ショスタコービッチのピアノ三重奏曲 ホ短調、作品67。ボザールトリオの演奏でした。この曲は 私も大好きで 何回も演奏したことがあります。フィギュアスケートのイタリア代表、コストナーが前シーズンに使ったことでも有名になりました。このトリオが書かれたのは 1944年、敬愛していた音楽学者 ソレルティーンスキィが亡くなったあと、追悼の意味を込めて作曲されました。偉人への哀悼曲として ピアノ三重奏曲を書く、ロシアには そんな伝説があり、チャイコフスキーもルビンシュタインに、ラフマニノフは チャイコフスキーに、ピアノ三重奏曲を書いています。 さて、次のピアノ三重奏曲は その チャイコフスキーのピアノ三重奏曲です。 ピアノ三重奏曲イ短調 作品50、「偉大な芸術家の思い出のために」という題がついています。偉大な芸術家、というのは チャイコフスキーよりも 5歳年長のロシアの大ピアニスト、ニコライ・ルービンシュタインのことです。 では チャイコフスキーのピアノ三重奏曲、イ短調 作品50、45分に及ぶ大曲、スークトリオの演奏でどうぞ。

チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 

チャイコフスキーのピアノ三重奏曲、イ短調 作品50、スークトリオの演奏でした。いかがでしたか? 第2楽章が テーマと変奏曲になっていて 主役の楽器が入れ換わり、華やかなバリエーションとなっています。さて、今日 ご紹介する3曲目のピアノ三重奏曲は 44歳という若さで亡くなった アレンスキーのピアノ三重奏曲です。 若くして亡くなったので あまり一般的には知られていませんが、この三重奏曲は美しく、よくできているので、演奏会でも よく取り上げられます。 では アシュケナージトリオの演奏で アレンスキーのピアノ三重奏曲、作品32、お楽しみください。

アレンスキー:ピアノ三重奏曲 

アシュケナージトリオの演奏で アレンスキーのピアノ三重奏曲、作品32でした。今日は ロシアの作曲家による、ピアノ三重奏曲を特集してお送りしてきました。 いかがでしたか? (BGM)来週のこの時間は 川口 博さんのオペラ、そして 来月の室内楽の時間は インドの様子をご報告しながら インドの民族音楽をご紹介しようと思っています。では 今日はこのへんで。ご案内は三浦郁子でした。

BGM  

2012年4月放送 [2012年 ON AIR]

2012年4月放送

三浦郁子です。 今日は 先月行ってきたNYのお話を交えながら アメリカの作曲家の作品をご紹介します。まずは この曲から。アーネスト・ブロッホのピアノ五重奏曲、ブロッホは スイス生まれの作曲家ですが、早くからアメリカに移住し、アメリカで成功を収めた人です。では ピヒティプダス五重奏団の演奏で どうぞ、1923年の作品です。

ブロッホ:ピアノ五重奏曲 

ピヒティプダス五重奏団の演奏で、アーネスト・ブロッホのピアノ五重奏曲でした。
さて、たった 5日間でしたが、ニューヨークに行ってきました。今月80歳になる母のお祝いに何がいいか、聞いたところ「NYに行きたい」と言われました。両親は 4年ほど駐在で NYに住んでいたことがあり、数年前に亡くなった父の思い出の場所に もう一度行ってみたい、という希望だったようです。私も 去年行ったときは オフシーズンで コンサートやオペラが何もなかったので 今回は はりきって5日間5演目のチケットをインターネットで取りました。 往復の航空券と ホテルがチョイスできるプランで 食事はまったくなし、NYなら 目をつむっても歩けるので 問題はありません。 到着後、ホテルに荷物を置いて すぐに セントラルパークウエストにある グッゲンハイム美術館へ行ってみました。 12時間のフライトのあとでしたが 80歳の母も 時間を無駄にするものか、と 元気いっぱい、父が大好きだった かたつむりの形をした 美しいフォルムの美術館を見て その3ブロック先にある メトロポリタン美術館にも立ち寄り、ミュージアムショップをのぞいたりしました。 私たちが移住したのは もう 30年以上前ですが、違和感はまるでありませんでした。 夜は 夕食を兼ねてジャズを聴きに行きました。今回は そういう場所も考慮して ホテルの位置を決め 大正解でした。夜、コンサートやオペラがはねてから タクシーを拾うのは 難しいことがあるからです。母の足でも 徒歩でホテルまで帰れるところ、そういうことは 旅行者にとっては 大事なことですね。セントラルパークを見下ろすジャズクラブ、超一流のジャズが とてもリーズナブルなチャージで聴けて 食事もできるお勧めスポットです。では 2日目をお話する前に一曲、1929年シカゴ生まれのポーランド系アメリカ人、ロバート・ムチンスキーの作品から、加藤元章のフルート、野平一郎のピアノで フルートソナタ 作品14をどうぞ。

ムチンスキー:ソナタ

加藤元章のフルート、野平一郎のピアノで ムチンスキーのフルートソナタ 作品14でした。いかがでしたか?2日目は 友人とランチ、夜は ニューヨークフィルハーモニックのコンサートでした。ドホナーニ指揮で メインはシューベルトの交響曲「グレート」久しぶりに聴くこのオーケストラの金管セクションは 改めて度肝を抜くもので 素晴らしかったです。満席で 大盛り上がりでした。ニューヨークでは 本当に お客さんが演奏の盛り上がりに 一役も二役も買います。国民性でしょうか・・・毎回 シビアではありますが、いいときは 猛烈な賞賛をします。では ここで、もう一曲、アーロン・コープランドのバレエ組曲「アパラチアの春」を スティーブン・ガンゼンハウザー指揮、スロヴァキア放送交響楽団の演奏でどうぞ。

コープランド:アパラチアの春 

スティーブン・ガンゼンハウザー指揮、スロヴァキア放送交響楽団の演奏で アーロン・コープランドのバレエ組曲「アパラチアの春」でした。3日目は また 友人とランチしたあと、80歳の母は 一人で五番街へ買い物に出かけ、夕方 一人で 意気揚々とタクシーに乗り、帰ってきました。英語はほとんどできませんが、度胸が人一倍なので いつでも どこでも なんとでもなるようです。この母、実は 2年前に 船で世界一周しているのです。105日、一人での船旅・・・秋にはその時のことをまとめた写真エッセイ集が出版されます。 いつまでも この調子で 元気でいてもらいたいものです。夜は カーネギーホールでのピアノリサイタル、これも 偶然でしたが、今 注目のピアニスト、ブロンフマン、大きな体で どんな馬力か、と思いきや、ピアニッシモも 美しく、繊細かつ大胆で カーネギーホールが揺れるほどの 大喝采、私も思わず 立ち上がって拍手しました。 素晴らしいピアニストを聴けて 幸せな夜でした。 その帰り道、小腹がすいたので ふと見つけたラーメン屋さんに入ってみました。「寺川」という 日系の若い方がやっている小さな店ですが、びっくりするほど 美味しい。味噌、醤油によって 麺を変え、シンプルですが 餃子もとても 美味しかったです。4日目は メトロポリタンオペラで「マクベス」 最終日は ブロードウエイで「メリーポピンズ」のミュージカル鑑賞、と 5日間超盛りだくさんの日程を無事にこなしました。 お天気も雨知らずの快晴、気温も この時期のNYとしては異例の暖かさ25度、本当に 母の誕生日を祝ってくれるような、ラッキーな毎日を過ごすことができました。では ここで、エイミー・ビーチのピアノ五重奏曲 作品67を ピヒティプダス五重奏団の演奏で どうぞ。

ビーチ:ピアノ五重奏曲 
ピヒティプダス五重奏団の演奏で エイミー・ビーチのピアノ五重奏曲でした。
今日は 先月 80歳の母を伴って行ったNYのお話をしながら アメリカの作曲家の作品をお送りしてきました。いかがでしたか? さて 来週のこの時間は川口 博さんのオペラ、そして 来月の室内楽の時間は ロシアの作品をご紹介します。どうぞ お楽しみに、では 今日はこのへんで、ご案内は三浦郁子でした

 

2012年3月放送 [2012年 ON AIR]

2012年3月放送

今年は本当に寒い冬でしたが、ようやく春がやってきました。いかがお過ごしでしょうか、三浦郁子です。  さて、今日の放送日、私はアメリカのNYにいます。昼はメトロポリタンオペラで、マクベス、夜はニューヨークフィルハーモニックのコンサートを楽しんでいるはず。来月は日はウィーンの郊外、ドナウ川の上流、クレムス周辺を少し  ご案内しながら  ベートーベンの作品をご紹介しようと思っています。  では  まず一曲、ベートーベンの弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 セリオーソを メロス弦楽四重奏団の演奏で どうぞ。

弦楽四重奏曲「セリオーソ」

メロス弦楽四重奏団の演奏で、ベートーベンの弦楽四重奏曲  第11番、ヘ短調  セリオーソでした。音楽の都、ウィーンへいらしことのある方は多いと思いますが、ウィーンの街を流れるドナウ川の上流も  なかなか  風光明媚なところです。  サウンド・オブ・ミュージックは  皆さま  よくご存じの映画ですが、その舞台ともなったところ、トラップファミリーがナチスに追われて  家族で  山越えをして逃げたという設定の場所です。ドナウ川を見下ろして  いくつものお城がいまでも点在し、秋の紅葉の時期は  ドナウの蛇行した流れに  美しい色彩が寄り添うように続き  1日、見ていても飽きません。  20年近く前ですが、私が滞在していたのは、ウィーンから  30分ほど  Sバーンに乗っていく  アルテンベルグという小さな村です。ベートーベンの遺書で有名な  ハイリゲンシュタットで  乗り変えるので、ハイリゲンシュタットまでいらした方は  もうちょっと先までいくと  アルテンベルグです。そこに  コンラッド・ロレンツ研究所があります。コ
ンラッド・ロレンツという人は  ご存じの方もあるかと思いますが、あひるが  卵から産まれて  最初に見たものを親だと思う、ということを科学的に立証した人です。  この研究所は  彼の自宅兼研究室で  1900年ごろに建てられたもの、彼の死後、蔵書や絵がそのまま飾られ、保存されていて、小規模な会議や研究会にも利用されています。  駅の周辺には  小さなホテルも点在していて、ちょっとしたリゾートにもなっているので、ウィーンの人々の週末の川遊びにも最適なエリアです。ここから  電車でクレムスというところまで行くことができます。  クレムスは  オーストリアらしい、かわいらしい町で 市庁舎の裏には市場がでていて、石段を登っていくと  ゴシック様式の美しい教会があります。ここから  ドナウ汽船の船に乗り、ドナウ川の遊覧ができるので  夏の観光シーズンは  それなりに賑わっています。では  ここで一曲、リン・ハレルのチェロ、ウラジミール・アシュケナージのピアノで  ベートーベンのチェロソナタ  第3番  イ長調  作品
69を お聴きください
チェロソナタ:第3番 

リン・ハレルのチェロ、ウラジミール・アシュケナージのピアノで  ベートーベンのチェロソナタ  第3番  イ長調  作品69でした。いかがでしたか?  さて、クレムスから ドナウ汽船の船に乗ると  川沿いの小さな村を眺めながら、30分ほどで  デュルンシュタインというところに着きます。小さい村ですが、こぎれいなレストランもあり、休日のランチにはもってこいです。  山の上には  城跡があり、そこからの、ドナウ川の眺めは最高です。電車や船の乗り換え、乗り継ぎは  少々不便ですが、ゆったりと1日かけてウィーンからの小旅行、いかがでしょうか。  このあたりには  野生の鹿やうさぎを料理する店もあり、臭みのある食材を  美味しいソースで食べれますし、ウィーンよりも  ずっと安いので  おすすめです。では  明るいドナウ川沿いの村にぴったりの曲、ベートーベンのピアノ三重奏曲  第4番  変ロ長調  作品11「街の歌」を  アントニー・シビリのピアノ、ペーター・シュミードルのクラリネット、岩崎

ピアノ三重奏曲 第4番 

ベートーベンのピアノ三重奏曲  第4番  変ロ長調  作品11「街の歌」を  アントニー・シビリのピアノ、ペーター・シュミードルのクラリネット、岩崎  洸のチェロでした。ヨーロッパの街、大きくて有名な街は  もちろん見どころも多く、楽しいですが、もし、1日余裕があれば  電車に乗り、30分でもいいから郊外に行ってみてください。どんな小さい村にも教会があり、市庁舎があり、市場が出ています。  ローカルな人々の暮らしや日常が垣間見れる他、思わぬ美味しいものに巡り合えたり、のんびりした癒しの時間が待っているはずです。その際には  乗るたびに切符を買う手間が省ける  1日乗り放題の券を買うことをお忘れなく。  では  ここで一曲、ベートーベンと同時代の作曲家、クーラウの作品をお聴きいただきましょう。オーパストリオの演奏で  クーラウのトリオ、作品119、フルート、チェロ、ピアノの編成です。

クーラウ:トリオ 

クーラウのトリオを  オーパストリオの演奏で聴いていただきました。では  今日  最後の曲、ベートーベンの弦楽四重奏曲  第10番  変ホ長調  作品74「ハープ」を  メロス弦楽四重奏団の演奏で どうぞ。

ベートーベン:弦楽四重奏曲 第10番

(途中から)ベートーベンの弦楽四重奏曲  第10番  「ハープ」をお聴きいただいています。来週のこの時間は  蓮村  直さんの「映画に関連したクラシック曲」  そして  来月の室内楽の時間は NYの今をご報告しながら アメリカの作曲家の作品をご紹介しようと思っています。どうぞ  お楽しみに。  では  今日はこのへんで。ご案内は三浦郁子でした。
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